改正GMP省令により追加になった責任者

改正GMP省令では、新たに品質リスクマネジメント責任者および外部委託業者管理責任者の設置が求められている。

品質リスクマネジメント責任者

改正GMP省令の第3条の4 品質リスクマネジメントには以下の要求事項がある。
製造業者等は、品質リスクマネジメントを活用して医薬品品質システムを構築した上で、医薬品に係る製品について、製造所における製造管理及び品質管理を行わなければならない。
2 製造業者等は、あらかじめ指定した者に品質リスクマネジメントの実施の手続その他の必要な事項に係る文書及び記録を作成させ、これらを保管させなければならない。

つまり品質リスクマネジメント責任者の設置を要求しているのである。
薬生監麻発0428第2号の逐条解説では下記のように説明されている。

6.第3条の4(品質リスクマネジメント)関係
(2)医薬品の製造業者等があらかじめ指定した者に行わせる品質リスクマネジメントの実施の手続きその他の必要な事項に係る文書及び記録の作成及び保管について規定するものであること。
あらかじめ指定した者については、品質リスクマネジメントに関して熟知している職員を当該文書及び記録の作成及び保管の責任者としてあらかじめ指定し、その職責及び権限を含め、GMP省令第6条第4項の規定による文書に適切に定めておくことが求められる。

ここで注意しなければならないことは、『品質リスクマネジメントに関して熟知している職員』といった要求である。
品質リスクマネジメントは、製造や試験検査における逸脱等により、医薬品等の品質に欠陥が生じた場合、患者にどういった健康被害(危害)が生じるかを推論するものである。
つまり、薬学・医学的な専門知識を必要とする。
果たしてそのような知識を持った職員が製造所(製造業者)に存在するかどうかである。
ICH Q9で要求され、今般改正GMP省令に盛り込まれた品質リスクマネジメントは、適正に実施することは非常に困難を伴う。
製造販売業者の開発担当者(技術移転のスタッフなど)と連携することが求められる。

外部委託業者管理責任者

改正GMP省令の第11条の5 第2項には以下の要求事項がある。

製造業者等は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を適切に行わせなければならない。
一 外部委託業者との取決めの締結に際して、当該外部委託業者の適性および能力について確認すること。
二 外部委託業者が当該委託に係る製造・品質関連業務を適正かつ円滑に行っているかどうかについて定期的に確認するとともに、必要に応じて改善を求めること。
三 前2号の業務に係る記録を作成し、これを保管すること。

薬生監麻発0428第2号の逐条解説では下記のように説明されている。

19.第11条の5(外部委託業者の管理)関係
(2)医薬品の製造業者等があらかじめ指定した者に行わせる外部委託業者の管理に係る業務について規定するものであること。
あらかじめ指定した者については、当該委託に係る製造・品質関連業務を熟知している職員を当該外部委託業者の管理の責任者としてあらかじめ指定し、その職責及び権限を含め、GMP省令第6条第4項の規定による文書に適切に定めておくことが求められる。

外部委託業者の管理を厳重に実施することが求められている。特に変更管理については厳重に監視監督する必要がある。
背景としては、2016年6月に実施された一斉点検で見つかった承認書との相違に、外部試験検査機関における試験方法の変更が多く含まれていた。
製造業者は、外部試験検査機関における変更管理も把握する必要がある。 その他に、製品品質に影響のある業務を委託する業者の管理も必要である。

お役立ち動画

https://www.youtube.com/watch?v=QG74iIoCbhM&t=3141s

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GMP施行通知の施行(2013年8月30日)から8年近く経過し、いよいよGMP省令が改正されます。
改正GMP省令は、ICHやPIC/S等の国際標準のGMP基準に整合されました。
特にICH-Q9(品質リスクマネジメント)やICH-Q10(医薬品品質システム)の遵守が求められます。
それにより、品質保証体制の充実が求められることとなりました。

しかしながら、改正GMP省令はPIC/S GMPとの差異も存在します。
いったい何が変わり、どういう要求事項になっているのでしょうか。

改正GMP省令は、PIC/S GMPガイドライン重要項目(6項目)に加え、おおよそ以下の要件が追加されました。

承認事項の遵守(第3条の2)
医薬品品質システム(第3条の3)
品質リスクマネジメント(第3条の4)
交叉汚染の防止(第8条の2)
安定性モニタリング(第11条の2)
製品品質の照査(第11条の3)
原料等の供給者の管理(第11条の4)
外部委託業者の管理(第11条の5)
また、用語の定義が充実しました。
例えば、「医薬品品質システム」、「品質リスクマネジメント」、「安定性モニタリング」、「最終製品」、「参考品」、「保存品」、「是正措置」、「予防措置」、「品質」などが第2条(定義)に追記されます。

いったいどのような手順書(SOP)を作成すれば良いのでしょうか。

【医薬品品質システム】
ICH Q10(医薬品品質システム)の取り込みはグローバルな流れでもあります。
したがって、改正GMP省令においては、ICH Q10の浸透が強く要求されます。
では、医薬品品質システムとはいったい何でしょうか。
医薬品品質システムにおいては、経営層(トップマネジメント)の関与が求められます。
トップマネジメントは、医薬品品質システムの確立と実施の責任を持ちます。
また、定期的にマネジメントレビュによって品質をレビュし、医薬品品質システムの見直しを実施しなければなりません。
それにより、医薬品のライフサイクル全期間での継続的改善を促進することとなります。

また、製造所においては、従来の品質部門に品質保証に係る業務を担う組織(QA)の設置が規定されます。
製造管理者の管理監督の下、品質保証に係わる業務を実際に遂行する組織としての手順書の作成と実施が求められます。
また、外部試験検査機関等の供給者管理も厳格化されます。
供給者監査の実施や供給者における変更管理も把握する必要があります。
さらに品質保証部門(QA)は、是正措置や予防措置(CAPA)を通じて、品質の改善を実施しなければなりません。

【品質リスクマネジメント】
これまでICH-Q9 「品質リスクマネジメントに関するガイドライン」は課長通知として発出されていました。
しかし、改正GMP省令においては、適切に品質リスクマネジメントが活用されるよう、ICHQ9の原則に則して手順書の作成と実施が求められます。
さらに品質リスクマネジメントの適用範囲として、「製品の製造管理及び品質管理」 だけでなく、「製造所における医薬品品質システム(PQS)」も対象となります。

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しかしながら、改正GMP省令はPIC/S GMPとの差異も存在します。
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承認事項の遵守(第3条の2)
医薬品品質システム(第3条の3)
品質リスクマネジメント(第3条の4)
交叉汚染の防止(第8条の2)
安定性モニタリング(第11条の2)
製品品質の照査(第11条の3)
原料等の供給者の管理(第11条の4)
外部委託業者の管理(第11条の5)
また、用語の定義が充実しました。
例えば、「医薬品品質システム」、「品質リスクマネジメント」、「安定性モニタリング」、「最終製品」、「参考品」、「保存品」、「是正措置」、「予防措置」、「品質」などが第2条(定義)に追記されます。

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【医薬品品質システム】
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したがって、改正GMP省令においては、ICH Q10の浸透が強く要求されます。
では、医薬品品質システムとはいったい何でしょうか。
医薬品品質システムにおいては、経営層(トップマネジメント)の関与が求められます。
トップマネジメントは、医薬品品質システムの確立と実施の責任を持ちます。
また、定期的にマネジメントレビュによって品質をレビュし、医薬品品質システムの見直しを実施しなければなりません。
それにより、医薬品のライフサイクル全期間での継続的改善を促進することとなります。

また、製造所においては、従来の品質部門に品質保証に係る業務を担う組織(QA)の設置が規定されます。
製造管理者の管理監督の下、品質保証に係わる業務を実際に遂行する組織としての手順書の作成と実施が求められます。
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さらに品質保証部門(QA)は、是正措置や予防措置(CAPA)を通じて、品質の改善を実施しなければなりません。

【品質リスクマネジメント】
これまでICH-Q9 「品質リスクマネジメントに関するガイドライン」は課長通知として発出されていました。
しかし、改正GMP省令においては、適切に品質リスクマネジメントが活用されるよう、ICHQ9の原則に則して手順書の作成と実施が求められます。
さらに品質リスクマネジメントの適用範囲として、「製品の製造管理及び品質管理」 だけでなく、「製造所における医薬品品質システム(PQS)」も対象となります。

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