Author name: ecompliance

archives, CSV

厚労省コンピュータ化システム適正管理ガイドライン(案)の考察(2010.7執筆)

ウェブセミナー Computerized System Validationについて研究するページです。 *万が一文中に解釈の間違い等がありましても、当社では責任をとりかねます。 本文書の改訂は予告なく行われることがあります。 厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン(案)」の考察 1. はじめに 厚生労働省は、2010年7月16日「医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコン ピュータ化システム適正管理ガイドライン(案)」を発表し、パブリックコメントの募集を開始した。パブリックコメントは、8月20日まで受け付けている。また新ガイドライン(案)に加えて、考え方(Q&A集)も同時に掲載されている。このガイドラインは、「コンピュータ使用医薬品等製造所適正管理ガイドライン」(平成4年2月21日薬監第11号:平成17年3月30日付薬食監麻発第0330001号により廃止)を置き換えるものである。旧ガイドラインは、欧米の規制要件に対して、比較的内容が具体的で理解しやすく、 実用的であった。しかしながら、IQ、OQ、PQといった検証(バリデーション)に関する記述がなく、 外国の規制当局の査察時等に苦慮するといった一面もあった。 今回は厚労省版「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン(案)」を考察してみたい。 2. 新ガイドラインの特徴 新ガイドライン(案)を一通り読んだ印象では、以下の特徴があるようだ。1) GMP、GQP 分野を対象としている。2) 旧ガイドラインとGAMP 5 を折衷したような内容であ […]

One Point, Pharmaceutical

平成21年度GCP研修会参加報告

10/19(月)に開催された「平成21年度GCP研修会」に参加したので、「電子的に収集された臨床試験データに対する信頼性調査の留意点」に関する発表について、今回はそのフィードバックを行いたい。GCP研修会では、当該演題は30分間であったが内容の濃いものだと感じた。発表によると、平成20年度以降、10社以上(20申請品目以上)でEDCを利用した試験を含む申請品目の適合性調査が医薬品医療機器総合機構(PMDA)によって実施されてきたという。特に平成21年5月以降は、EDCデータに対する調査すべき事項をまとめた「EDC調査チェックリスト」が作成され、パイロット調査が実施されてきた。このチェックリストは、既にPMDAのHPで公開されている。本チェックリストは、Wordが治験依頼者用、pdfが医療機関用となっている。GCP研修会では、チェックリストの内容の紹介とともに、調査の内容と事例に基づく留意点の説明があった。チェックリストは、本来の調査項目に加えて、EDCを使用した場合に追加となる差分の項目のみが記載されていることの説明があった。監査証跡のバリデーションが追加されているのが特徴的である。また治験依頼者の要件を満たしていることを保証する文書の調査も加わった。さらに各種手順書に関して、当該治験に該当するものの作成日を調査することになっている。バリデーションに関しては、ASPを使用するケースを例とし、開発者、ASP、治験依頼者の関係を図で示し、このパターンが最も複雑になること、しかしながら最終責任は治験依頼者にあることの説明があった。バリデーションについての深い調査は行っていないが、要検討項目であることが付け加えられた。留意点として、【治験依頼者】・ユーザ管理において、システムがOKであっても、使う側が適切に運用しなければならないこと。・教育訓練を行っていても、ID、Passwordの発行時に、受け手(医療機関)が理解できていない事例が発生してい る。・データの保存に関する留意事項として、多くはpdfで作成されているが、治験責任医師の署名後に修正が発生した 場合、最終版が保存されていない事例があった。 これは第26条の適切な保存の要件に抵触するものである。・電子症例報告書の作成、修正および署名について、本来(紙ベースのCRFの場合)は医療機関が責任を持つべき であるが、EDCを利用する場合は、治験依頼者がそれらの環境を準備するため、治験依頼者側の調査を行って いる。 医療機関においては、紙ベースの調査と変わらないため、本項目の医療機関用チェックリストは作成していない。・電子症例報告書は、監査証跡を含めて完全といえる。・pdf化する際に特殊文字などによる文字化け、表示のズレ等が発生している事例がある。・EDCでは、権限設定により、エラーを防ぐことができることがある。 例えば、最終確認署名は治験責任医師のみが可能となるようにし、治験分担医師はダメとするなど。 あくまでも責任は医療機関側にあるが、色んなシステムがあり、覚えきれないので、(機能を工夫するなど) できることをやってもらいたい。【医療機関】・ID・パスワードが、医療機関毎にひとつ(共有)と勘違いしたケースがある。・資格のない者に入力を代行させている事例がある。これはEDCを利用しているかどうか以前の問題である。・利用権限が同等以上であるユーザであれば、代わりに入力してもかまわないといった勘違い事例があった。・医療機関が電子症例報告書(写)を受け取る際、治験依頼者が作成したものであるから大丈夫であろうとする 考え方は良くない。 悪意はなくとも人為的ミスはあり得る。電子症例報告書(写)を受領する際に、 内容を確認すること。・記録の保存責任はあくまでも医療機関にある。受領書にその旨記載されていると思う。受領書にサインしたこと によって内容に責任を持つことになる。以上が、講演資料の説明であった内容の要約である。皆様のご参考になれば光栄である。 ]]>

Clinical Trial, EDC関連情報, One Point, Pharmaceutical

EDCを利用した治験の信頼性調査チェックリストの発表

EDCを利用した治験では、従来の紙CRFによる治験に比べて、モニタリングの方法が大きく変化する。今回は、EDC利用治験で変わるモニタリングに関して考察してみたい。1.医療機関の利用環境調査の実施医療機関における利用PCに関して、事前に以下の調査を実施しておく必要がある。・当該EDCシステムで利用可能なクライアント(PC)であるか・OS、Internet Explorer等のバージョン、リビジョン・ウィルス駆除ソフトがインストールされているか・セキュリティを侵害するようなソフトウェア(WINNY、パスワード自動入力ツール等)がインストールされていないことの確認・インターネット環境が適切か・クライアント設置場所が適切か2.治験責任医師等への教育・訓練研究会等で、治験責任医師、治験分担医師等に十分な教育を実施しておかなければならない。教育を受講していない場合は、EDCを操作してはならない。特にセキュリティについての教育は重要である。EDCを利用した治験では、紙CRFのように筆跡が残らない。したがって、安易に権限のない者に自身のパスワードを教え、入力や修正、承認をさせるといった行為が起こりえる。いわゆる「なりすまし」という不正行為である。なりすましは、真正性を脅かす最大の不正行為である。さらに治験責任医師は電子署名に関する教育を受けなければならない。Part11や厚労省ER/ES指針が要求する通り、電子署名のもとに作成された電子記録は、事後否認(後に真正なものではないと主張すること)ができないことを周知しておかなければならない。なお、EDCの操作等に関する教育は、イーラーニングで代用することも可能である。3.施設訪問時の確認事項訪問の度にセキュリティ(特にパスワード)が守られていることを確認しなければならない。また都度、パスワードを他人に教えないことを周知しなければならない。すなわち権限のない者に、入力・修正作業をさせないことを繰り返し徹底すること。またセキュリティを侵害するような事態(ログオン時に表示されるパスワード入力ミス回数等)がなかったかを確認する。中央検査機関から検査値が直接EDCに電子的にUploadされた場合、すみやかに治験責任医師等に報告し、検査値の確認(異常変動、有害事象等)を要請しなければならない。EDCを利用した場合、直接クエリー(問合せ)を発行することができるが、安易にデータマネージャがクエリーを治験責任医師等に発行してはならない。必ず担当モニターが確認すること。4.症例報告書の写しの提供当該医療機関で最終被験者が終了(LPO)した際、症例報告書の写しをすみやかに当該医療機関に提供しなければならない。このことは見逃されがちであるが、製薬協の自主ガイダンスにおいて要求されている事項である。治験依頼者は臨床試験データを独占してはならない。症例報告書の写しを医療機関に提供することによって、治験依頼者側による改ざんを抑止し、不正が起きないことを証明することができるのである。症例報告書の写しを提供する際には、医療機関に対し、CD-R等メディアの保存性確保のための手順書(取り扱い方、保存環境等)を交付すること。(つづく) ]]>

Part11

電子記録の長期保存に関する問題

これまでに何度も指摘を行ってきましたが、たとえ紙で承認を行ったとしても、当該電子記録は削除してはいけません。何故ならば、紙の上には監査証跡がないからです。ところが、電子記録を長期間維持することはたやすいことではありません。コンピュータシステムは、定期的にリプレースされます。通常旧システムから、新システムに移行する際には、データの移行を行います。しかしながら、監査証跡を移行するケースはほとんどないのではないでしょうか。監査証跡のない電子記録は、査察に耐えることができません。FDAは、監査証跡が消去されている場合などは、査察を拒否します。またワーニングレターを発行することがあります。FDAは、1994年にPart11のドラフトを発行した際には、本物を保管しておくように要請していました。つまり査察を行うまで、旧システムを維持することを求めたわけです。しかしながら、この要求について、製薬会社は反発しました。旧システムを査察のためだけに温存しておくことは不合理です。故障のリスクやメンテナンスの費用、さらにライセンス料も負担し続けなければなりません。このことをパブリックコメントで指摘され、FDAは1997年にPart11のファイナルルールを発行した際には「正確かつ完全なコピー」を実施することと要求を変更しました。つまり、旧システムから新システムに、監査証跡を含めて正確にかつ完全に移行しなければならないということです。しかしながら、これにも問題があります。同じメーカの同じソフトウェアのリプレースであれば可能でしょうが、メーカが違う場合にはほとんど不可能でしょう。ちなみに、査察が行われるまでの間、旧システムを温存する方法を「タイムカプセルアプローチ」と呼びます。また旧システムから新システムに移行する方法を「マイグレーションアプローチ」と呼びます。電子記録を保持するために、タイムカプセルアプローチをとっても、マイグレーションアプローチをとっても、問題があるわけです。つまり紙の記録と違って、電子記録を長期間保持し続けることは困難であるわけです。では、米国の製薬企業は一体どんな方法で、この問題を解決したのでしょうか。それはデータベースのみの保持です。査察時に必要なことは、電子記録の検索のみです。つまり査察時に検索が容易であればFDAも問題ありません。システムをリプレースする際に、旧システムは廃棄しますが、データベースのみは温存します。その上で、SQL文を作成し、査察官が電子記録を検索するツールを用意しておけば良いわけです。データベースもバージョンが上がることがありますので、それに合わせてアップグレードして行けば良いわけです。ただし、データベースの構造や、データを変更してはいけません。検索ツールも、データを変更できるものであってはいけません。くれぐれもシステムを買い替える際などには、まず現在保持している電子記録をどう保持し続けるかを検討することが大切です。安易にシステムを廃棄してはなりません。システム廃棄計画書を作成し、電子記録の保持方法について十分な検討を行っておく必要があります。 ]]>

archives, CSV

厚労省コンピュータ化システムバリデーションガイドラインの考察(2008.10執筆) 

ウェブセミナー Computerized System Validationについて研究するページです。 *万が一文中に解釈の間違い等がありましても、当社では責任をとりかねます。 本文書の改訂は予告なく行われることがあります。 厚労省版「コンピュータ化システムバリデーションガイドライン」の考察 1. はじめに 2008年10月29日に開催された日薬連主催の「第28回医薬品GQP・GMP研究会」では、「コンピュータ化システムバリデーションのガイドライン」についての概要が発表された。これは平成4年に発出され、平成17年3月30日に取り下げられた「コンピュータ使用医薬品等製造所適正管理ガイドライン(薬監第11号)」を改定するものである。厚生労働省は、平成17年3月30日に本ガイドラインを取下げた。取下げの意図は不明である。この取下げにおいて、輸出等において混乱をきたした。例えば、台湾行政院衛生署は、1999年5月1日に「薬品優良製造規範」を公告し、台湾市場へ医薬品を供給する台湾内外の製薬メーカに対しバリデーションの資料を段階的に提出することを義務付けた。そして2005年12月10日までに輸入許可を取得している全医薬品について、コンピュータバリデーションデータの提出を要請した。そこで、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課は、平成18年10月13日付の事務連絡において「GMP/QMS事例集(2006年版)について」の117頁GMP 20-12 (コンピュータの利用等)において、新たなガイドラインが発出されるまでの間は、従来どおり、本ガイドラインを参考とすることとし、一部改定の上、現在でも有効とした。その上で2007年6月より、厚生労働省、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、日本製薬団体連合会 品質委員会、製剤機械技術研究会が共同で、本ガイドラインについての見直し作業を進めている。2008年2月には、見直しにあたり、各企業の現状を踏まえたものとするため、日薬連及び日本医薬品原薬工業会傘下会員社にアンケート調査を実施した。また改定案に対するコメント収集及び評価を行い、改定案の最終化と規制当局へ提案が行われた模様である。今後は、厚労省版「コンピュータ化システムバリデーションガイドライン」が施行され、それにともなって査察マニュアルも見直しされるものと推察される。今回は2008年10月29日 日薬連主催「第28回医薬品GQP・GMP研究会」配布資料をもとに、近い将来に発行されると予想される厚労省版「コンピュータ化システムバリデーションガイドライン」を考察してみたい。 2. 日本におけるコンピュータ化関連指針 日本におけるコンピュータ化関連指針としては、厚生省(当時)から平成4年2月21日に出された薬監第11号監視指導課長通知「コンピュータ使用医薬品等製造所適正管理ガイドライン」と、平成5年1月11日に出された薬監第3号監視指導課長通知「コンピュータ使用医薬品等製造所査察マニュアル」があげられる。この2つの通知を受けて、平成5年に薬事法が改正され、医薬品GMPの改正が行われ、バリデーションを実施することが医薬品製造の許可要件となった。(図1参照) 図1 日本におけるコンピュータ化関連指針 コンピュータ使用医薬品等製造所適正管理ガイドラインは、厚生省がソフトウェアベンダーに作成を依頼した経緯があり、実用的で、読みやすく分かりやすいものになっている。しかしながら、本ガイドラインはソフトウェアを開発する側の論理で作成されており、検証する側の論理、すなわちバリデーションの概念が薄いものとなっている。(図2参照) 図2 コンピュータ使用医薬品等製造所適正管理ガイドライン 3.

ERES, Pharmaceutical

規制当局によるER/ES査察の開始

2008年10月20日のGCP研修会で、規制当局からEDCに関する信頼性調査の概要が発表されました。厚労省ER/ES指針が発出されて3年半がたちますが、いよいよ本格的なER/ES査察が開始されることになります。発表された信頼性調査チェックリストは、まだ改定と公式な発表が必要なようです。したがって今すぐ査察が行われるわけではありません。しかしながら、準備は早急にしておかなければなりません。ER/ES指針(案)は、平成15年6月4日に厚生労働省医薬局審査管理課から発表されました。この際には平成14年9月に米国ワシントンにて開催されたICH運営委員会において、eCTDがステップ4の3極合意に達したことをふまえ、医薬品等の承認又は許可に係る申請に関する記録等において電磁的記録及び電子署名を利用するための指針(案)を作成した旨の説明がありました。つまり厚労省ER/ES指針は、もともとeCTDを実施する際の要件であったことがうかがえます。パブリックコメントを電子メールによって提出する際のアドレスがectdshishin@mhlw.go.jpであったことからも推察できます。しかしながら、eCTD申請受付が開始されてから3年半が経った現在でも、eCTDによる申請会社数は20社程度と伸び悩んでいます。ただし申請数は増加していますので、同じ会社が繰り返しeCTDによる申請を行っていると推察されます。もともとeCTDに向けて作成された厚労省ER/ES指針も、ふたを開けてみればその適用第1号は、EDCとなったわけです。これまで書面調査は、原本を規制当局に持参していましたが、EDCにおけるeCRFのように電子記録が原本となるようなケースでは、査察官が製薬企業を訪問し調査することとなりました。その理由は、監査証跡の確認です。EDCにかぎらず、今後の査察では、製薬企業が電子的に作成した記録を、厚労省ER/ES指針に照らして調査を受けることが予想されます。前回のメルマガや、論文等を通じて、タイプライターイクスキューズは通用しないことを繰り返し述べてきました。いわゆるハイブリッドシステムでは、手書き署名や記名・捺印を紙媒体化したのみであり、記録は電子です。したがって、紙媒体で承認を行ったとしても、けっして電子記録は削除してはなりません。コンサルテーションをご提供している製薬企業で、よく次のような主張を聞きます。「当社では、承認は責任者がすべてのプロセスを確認したうえで、紙媒体で行っている。したがって紙媒体が原本であり、正本である。」つまり責任者が保証しているので、紙媒体が正しいと言いたいのであると思います。しかしながら、世界の規制当局はその責任者を疑うのだということを知らなければなりません。事故米や牛肉偽装問題など、世間を騒がせる事件のほとんどは、企業のトップの指示により実行されています。査察直前に責任者が命じて電子記録を改ざんさせ、再度印刷の上で、承認を行ったとしたらどうでしょうか。規制当局が電子記録の監査証跡を確認しなければ、改ざんは発見できないことになるでしょう。EMEAのANNEX11改定案でも、紙媒体で査察を受ける場合は、監査証跡をすべて印刷しておくことを要求しています。その場合でも、印刷された監査証跡が複雑である場合は、査察官はいつでも電子記録を直接参照できることを記述しています。おそらくPart11の改定でも同様の要件が盛り込まれることでしょう。今月末に日薬連主催の「医薬品GQP・GMP研究会」が開催され、その中で「コンピュータ化システムガイドライン」の概要が発表される予定です。これは平成4年に発出され、平成17年3月30日に取り下げられた「コンピュータ使用医薬品等製造所適正管理ガイドライン(薬監第11号)」を改定するものです。日本におけるCSVのガイドラインがどのように変更になるかが注目されます。ある著名なEDCシステムでは、ユーザを無効化した際に監査証跡が消去されてしまうという、非常に大きな欠陥があります。セキュリティ上、LPO(Last Patient Out:最終症例終了)の際には、当該医療機関のユーザを無効化しなければなりません。その際には、無効化するのではなく、パスワードを変更するといった代替手段が望まれます。規制当局が電子記録の査察を行った際に、見破れない不正行為が一つだけあります。それはパスワードの漏えいです。治験責任医師が他の者にパスワードを教え、電子署名を代わりに実行させたとしても、その事実はわかりません。この行為は、実印を他人に預けることと同等です。決して許されません。電子化がすすみ、便利になったとは言え、何事も利用する人たちのモラルにかかっていることは否めません。 ]]>

ERES, Part11

ER/ES実践講座(第12回) ER/ES指針査察の開始

ER/ES実践について研究するページです。 *万が一文中に解釈の間違い等がありましても、当社では責任をとりかねます。 本文書の改訂は予告なく行われることがあります。 ER/ES指針査察の開始 1. はじめに 2008年10月20日に開催された「平成20年度 GCP研修会」で、医薬品医療機器総合機構(以下、機構)信頼性保証部からEDCに関する信頼性調査(書面調査)の概要が発表された。平成17年4月に「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等に関する電磁的記録・電子署名利用のための指針」(以下、ER/ES指針)が発出されて3年半が経つが、いよいよ本格的なER/ES査察が開始されることになる。発表された信頼性調査チェックリストは、まだ改定と公式な発表が必要であると思われる。しかしながら、準備は早急にしておかなければならない。なぜならば、現在実施中の治験における電子記録は、間違いなく書面調査の対象となるからである。これまで書面調査は、機構に原本を搬入して行われていた。しかしながら、EDCシステムのように原本が電子の場合、機構会議室では確認ができない事例が発生している。このため、原本を確認するために、必要に応じて、依頼者側に訪問(訪問型書面調査)の上実施されることになる。しかしながら現行のEDCシステムの一般的な運用方法と、規制当局の認識には、多少のずれがあるように思われる。本稿では、いよいよ開始されるER/ES指針査察に対応するための課題と問題点を考察してみたい。 2. EDCに関する信頼性調査の概要 2.1 機構が行う信頼性調査の根拠 機構が行う信頼性調査は、薬事法第14条第5項に規定されている。臨床試験関係については、医薬品等の製造販売承認申請の際に、申請資料等がGCP省令や、薬事法施行規則第43条に対しての適合性を、書面または実地により調査するものである。機構が実施する臨床試験成績に対する信頼性調査には、以下の2通りがある。・適合性書面調査(Document-based Conformity Audit)・GCP実地調査(GCP on-site Review) 2.2 ER/ES指針と書面調査 症例報告書の作成・保管において、電磁的記録を利用するのであれば、GCP省令第2条、第4条、第26条、第47条に加えて、ER/ES指針にも留意する必要がある。ER/ES指針(案)は、平成15年6月4日に厚生労働省医薬局審査管理課から発表された。この際には平成14年9月に米国ワシントンにて開催されたICH運営委員会において、eCTDがステップ4の3極合意に達したことをふまえ、医薬品等の承認又は許可に係る申請に関する記録等において電磁的記録及び電子署名を利用するための指針(案)を作成した旨の説明があった。つまりER/ES指針は、もともとeCTDを実施する際の要件であったことがうかがえる。しかしながら、eCTD申請受付が開始されてから3年半が経った現在でも、eCTDによる申請会社数は伸び悩んでいる。もともとeCTDに向けて作成されたER/ES指針も、ふたを開けてみればその適用第1号は、EDCとなったわけである。これまで書面調査は、原本を規制当局に持ち込んでいたが、EDCにおける電子CRF(以下、eCRF)のように電子記録が原本となるようなケースでは、査察官が製薬企業を訪問し調査することとなった。その理由は、監査証跡の確認であるといえる。EDCにかぎらず、今後の査察では、製薬企業が電子的に作成した記録を、ER/ES指針に照らして調査を受けることが予想される。 2.3

GMP, Pharmaceutical

ANNEX 11改定版の考察

EU薬事規則はVolume 1からVolume 9まであります。その中でVolume 4がGMPです。このGMPには、付属資料がありAnnexと呼ばれています。その第11章であるAnnex11は、コンピューター化システム(Computerised Systems)です。現行のAnnex 11は「原則」「要員」「バリデーション」「システム」の4つの枠組みからできていますが、たったの2ページであり、概念的なもので具体性には乏しいようです。Annex 11の改定版のドラフトが2008年2月にGMP/GDP InspectorsWorking Group(IWG)によって承認され、2008年4月にパブリックコメント(public consultation)募集用に発表されました。改定版のドラフトは9ページあり、規制要件としては、限界まで具体的なものにしたと思われます。。2008年10月31日までパブリックコメントを募集しています。改定版はPrincipleと19の章からできています。特に注目すべきは、第13章「Printouts」です。「記録の印刷は、オリジナルの入力からデータに変更があったかどうかを示すものでなければならない。複雑なシステムの場合、査察官がオンラインでシステムの電子記録(例えば、データベース、クロマトグラフィ、プロセスコントロール等)にアクセスし、調査できることが必要となるかもしれない。」とあります。これは、規制当局は紙媒体よりも電子で査察を行うことを示唆しています。米国ではPart11発効後に、Typewriter Excuseという言葉が生まれました。Part11査察を受けた製薬企業の主張は以下のようなものでした。「真の記録は紙の記録である。我々はコンピュータを単に記録を作成するために使っているに過ぎない。」これに対してFDAは「プリントアウトを本質的に信頼することはできない、なぜならプリントアウトにはデータの再構築または生データから再現するために必要なメタデータ情報を含んでいないからである。」等と主張しました。つまり印刷物には、監査証跡等のメタデータの情報がなく、規制当局が紙媒体で査察を行った場合、その改ざんの有無が確認できないのです。多くの場合、いわゆるハイブリットシステムを運用されていることと思います。ハイブリットシステムとは、電子で記録を作成し、紙媒体で署名することを言います。この場合、紙媒体上で承認をしたからといって、電子記録を削除してはなりません。なぜならば改ざんしたものを印刷し、承認したのち、証拠を消したと判断される可能性があるからです。FDAは、印刷後に電子記録を削除したシステムに関してワーニングレターを発行したことがあります。Annex 11は、こういった米国の規制当局と製薬企業の議論をよく研究し、改定案を作成したようです。Annex 11の改定に伴い、PIC/Sの改定も必至と思われます。 ]]>

Part11, Pharmaceutical

Part11の改定の見通しについて

2008年4月7、8日にデンマークのコペンハーゲンで開催されたISPE主催のGAMP5発表セミナーでSion Wyn氏がPart11の改定の見通しについて講演しました。Sion Wyn氏は、Conformity社のDirectorであり、GAMP5のEditorです。現在FDAにPart11の改定のメンバーとしてアサインされており、Scope& Applicationの作成メンバーの一人でもあります。講演要旨は以下の通りです。われわれは現在でも発行したオリジナルの計画とパブリックコメントによって改定されたルールに沿って進めつつあるが、とりわけタスクチームの心配事と言えば、コメントをフォローすること、改定したガイダンスに従って改定したPart11規則を発表すること、さらにより改定したガイダンスを発行すること、そして明らかに新しいプリアンブル(前文)を完成させることである。したがってまだ計画段階であるが、それがタスクチームとして達成すべきことである。それがいつになるかという質問は答えにくい。タスクチームにしてみれば、改定した規則の内容に満足しているが、いまだに当局における内部レビュプロセス中である。FDAによって精査されるまではパブリックコメント募集のための発表ができないことになっている。それはたいへん進行が遅く見えるが、それは特に最高評議会事務局での法的審査をうけなければならないからである。それがまさに長い時間を要する理由である。お伝えできることは、いまだ規則を改定し発表することに注力しているが、正直いつとはいえないということである。もちろん今年中であると願っている。それまでの間に何をするか、という問題には妥当かつ正当な答えがあると考えられる。「Part 11 Scope and Application」のファイナルガイダンスは、2003年に出されたものの、昨今の電子記録と署名においての当局の位置づけを色濃く反映しており、いまだに極めて今日的な意味を帯びている。したがってそのガイダンスを読めば、現行の規制では、ヨーロッパ勢が大変強い立場にあると推測される。そしてまたGAMPのような業界ガイダンスによる電子的記録と署名に関する実践規範(good practice)を見ると、今日FDAが基本と考える患者の安全に関する完全性(Integrity)の適切なリスク管理を顕著に反映している。常に「製品とプロセスの理解」に立ち戻ることが必要である。一旦「製品とプロセスの理解」を得られれば、プロセス中の当該記録の役割とデータの完全性のインパクトが理解でき、それらの記録に対するリスクを抽出し、適切な管理を選択することが出来る。それゆえ私は、どんな管理を常時適用するかまたは特定の環境においてのみ適用するかをはっきりと述べた規制要件(regulations)よりも、経営者たちそして明らかにサプライヤーが業界のことを考え、特にリスク認識において、理解に基づく適切な管理を選択するような規制を待ち望んでいる。もう一つ混乱をきたす可能性のあることについて言っておくと、皆さんの中には最近連邦広報(federal register)でFDA のPart11に関してのコメント募集を見たかもしれない。これは再検討プロセスの一部ではなく、私は定期レビュと考えたい。規制要件の経済的影響に関して、確実に規制の精査を要する要件がいくつかある。ある期間が過ぎた後に、規制要件の経済的影響を再考するということである。それは単に定期レビュだと考えられる。この事実はすなわちPart11が経済的影響を保証する時が来たということである。それで連邦広報でコメントを募集した。新しい規制要件や変更があるということではなく、興奮する必要はない。個人的には、改正された規制要件の発表の前に実施されるというのは、多少紛らわしいと考える。たとえ連邦広報でそれを見たとしても、興奮しないこと。それは新規制要件へのコメント要請とかそのたぐいのものではないのである。 ]]>

Scroll to Top