CSV,ER/ES,DI, Medical Device, Pharmaceutical

出荷判定のあり方について

出荷判定のあり方について GMP省令およびQMS 省令においては、製品を市場に出荷する際、出荷判定を実施しなければならない。出荷判定においては、製造の記録および品質試験の記録を、品質保証部門がチェックをした上で出荷を許可することになっている。 しかしである。日本の企業において、多くの場合、製造記録や品質試験記録に不備がなければ、そのまま出荷の捺印(またはサイン)をしている。そのような単純な方法では、パート職員やアルバイトでも可能である。 本来、出荷判定は品質保証部門のような第三者が、再度製造の記録や品質試験の記録を徹底的に調査し、疑義が全くない場合に出荷を承認することになるのである。筆者は仕事柄、海外の企業にも監査に赴くことがある。欧州においてはQualified Person(QP:欧州以外のPIC/S加盟国においては、Authorised Person)のみが出荷を承認することができる。たとえ経営者や工場長であっても、QPの資格を持たない者は出荷を承認することはできない。 欧州の製薬企業では、多くの場合、QPが配下を4~5名使って、あらゆる製造記録や品質記録を徹底的に調査させるさせている。しかもダブルチェックを行わせているのである。製造記録には、バリデーションの記録なども含まれる。品質試験の記録には、サンプリングの記録なども含まれる。当然、転記ミスや記載ミス、計算ミスなどもチェックされる。 特に生データの変更の記録については、厳重にチェックしなければならない。電子記録の場合、監査証跡の確認が重要である。その他、必要に応じて試薬の管理状況、校正の記録、教育訓練の記録などを参照することもある。最終的にQPが当該製品の品質に確信を持てた段階で、出荷を承認するのである。 2013年1月1日に発行された「PIC/S GMP Annex 11 Computerised Systems」には下記のような記載がある。 15.Batch release(バッチリリース)コンピュータ化システムが、承認およびバッチリリースの記録に使用される場合には、そのシステムは適格者(Authorised Person)にのみバッチのリリースの承認を許可し、バッチをリリースした者すなわち承認した者を明確に記録しなければならない。当該作業には、電子署名を利用しなければならない。 出荷承認したQP(AP)の氏名は、バッチ毎に明確に記録しておかなければならない。一旦QP(AP)が出荷を承認すれば、例え製造部門や品質部門にミスがあった場合であっても、出荷判定者がその責を負うことになる。ここにおいて、電子署名を利用しなければならない理由は、電子署名はバックデートできないためである。(手書きの署名は、任意の日付を記載することが可能であるため)さらにAnnex 11には下記の要求事項がある。 […]

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医療機器の設計・開発・申請における規制要件入門 ~品質、有効性及び安全性の確保~ 4講 医療機器と安全性

医療機器と安全性を理解するためには、まずリスクを正しく理解する必要があるリスクとは、起きるか起きないかわからない問題、これを「リスク」という。リスクは未来形である。安全性に関しては、医療機器が市場に出て実際に使用された時にどんな危害が発生するかを、設計段階で知恵を絞って推定し安全設計をする必要がある。なぜならば、リスクは試すことができないからである。リスクを顕在化させ患者・使用者にどのような健康被害が生じるか、など実際に試すことができない。特に医療機器にはこのリスクがあるので、その安全設計というところが最も強調されている。機器設計の有効性の評価については、臨床試験や臨床評価に委ねることが多い 医療機器リスクマネジメントとは 医療機器にはリスクマネジメントは必須である。何故ならば、医療機器には何らかのリスク(危害の潜在的な源)が存在しているからである。そもそも世の中の製品で”安全”というもの何一つない。あるのはリスクのみである。リスクフリーということはない。日本に住む人たちにとっては、安全神話やリスクフリー信仰やリスクゼロ信仰というものがある。リスクはゼロでないと許さないっていう風潮があるが、そんなものは世の中に何一つない。すなわちリスクしかないのである。大事なことはそのリスクを極めて低減し、受容可能なまで低減するということが必要であるということである。何らかのリスクを抱えた状態で市場へ出荷され、事故が起る前に予防策として、あらゆるリスクを検出し、それによって消費者(患者・ユーザー)に危害を及ぼさないようにするのがこの活動の主目的である。市場からの製品(類似製品を含む)に対するフィードバック情報も重要な要素となる。この活動はPDCAを基本としている。 ISO-13485(JIS Q 13485)規格からも、「医療機器の製造管理および品質管理に関する省令(医療機器QMS省令)」からも、このリスクマネジメントの適用・活動が必須となっている。ヘルスケア産業におけるリスクというのはあくまでも「患者ユーザーに対する健康被害」のことですのでお気を付け頂きたい。よく勘違いされるのは、例えば製造工程で製造する人が怪我をするリスクとやサービスマンが怪我をするリスクを考える方がおられるが、それは規制されていない。考える必要はあるが、規制要件が規制しているのは、あくまでも医療機器の患者・ユーザーに対する健康被害(リスク)定義しているので間違えないよう注意いただきたい。 医療機器におけるリスクマネジメント 「ISO-14971「医療機器―リスクマネジメントの医療機器への適用」2019年12月・医療機器の欠陥(故障、誤使用等)が患者や使用者に及ぼす「健康被害」を管理・設計管理においてリスクマネジメントを実施(リスク分析結果は設計管理のインプット)・財産若しくは環境の受ける影響も対象」 医療機器におけるリスクマネジメントは、ISO14971というものがある「医療機器リスクマネジメントの医療機器の適用」というタイトルがついている。2019年12月版に改訂されたものが最新版である これは特に設計管理においてのリスクマネジメントを要求しているということである。このリスク分析の結果は設計管理のインプットとなる。従って、設計を始める前までにリスク分析を終えなければならないということである リスク分析は先程の絵でご紹介したように、その当該医療機器にはどんなハザードがあるのか、そのハザードへの暴露がどれくらいの確率で起きるか、それによってどんな健康被害が起きるか、その重大性と発生確率を掛け合わせたものを設計のインプットとして安全機能設計しなければならないということである。 なぜならば患者・ユーザーは有効性を要求されるが、安全要求に関しては、設計が自身で安全な設計のインプットを作らなければならないということになっているからである。 機器設計 機器要求事項とリスク分析の関係 まず図の左上の「顧客の要求事項」で要求事項を文書化する必要がある。例えば医療機関の医師の方々、検査技師の方々、または患者の方々から来た機能の要求、性能の要求、言ってみれば有効性の要求、ところが、患者・ユーザーの方々からは、なかなか安全性に対する要求は出てこないので、設計段階で考えをめぐらし推定し安全設計をする必要がある。そのために安全規格というものがある。例えば、IEC60601-1医療用を目的とした電気機器の安全性を定める規格であったり、生体適合性であったり、その他安全規格がある。これら安全規格の遵守は必須要件となっている。プラスして、「リスク分析結果」、今回設計しようとしている品目の特性特質分析をしていただき、想定されていないハザードを抽出し、そのリスクを分析していただく、これをISO-14971に則って実施する必要がある。さらに「ユーザビリティ報告書」は「ユーザビリティエンジニアリング」をIEC-62366に従って行う必要がある。これら、「リスク分析結果」と「ユーザビリティ報告書」の二つの安全要求を足し合わせて「機器要求仕様書」PRS (Product Requirements Specification)を作らなければならない。ここまでが設計のインプットである。 このPRSをさらに、仕様書に展開していく先ほどME機器(医用電気機器)で述べたように、ME機器というのはメカ、エレキ、ソフトでできていますので、ソフトウェアの要求仕様書、ソフトウェアの基本設計書、ソフトウェアの詳細設計書、それから、メカの要求仕様、メカの基本設計、メカの詳細設計書、それから、エレキの要求仕様書、エレキの基本設計書、エレキの詳細設計書という風に仕様書が分かれていく、それらの仕様書の整合性をとって安全な医療機器を作らなければならない。 リスクの定義 (ISO

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医療機器の設計・開発・申請における規制要件入門 ~品質、有効性及び安全性の確保~ 2講 医療機器の種類

薬機法の対象となるもの 薬機法の対象となるものは、下に示す、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の5つである。①医薬品・日本薬局方に納められているもの・病気やケガの「治療」に用いられるもの・「予防」に用いられるもの・人の身体の構造又は、機能に影響を及ぼすもの ②医薬部外品・人体に対する作用が緩和なもの 例)栄養ドリンク、染毛剤、デオドラント剤 ③化粧品・人の身体を清潔にするもの         例)石鹸、歯磨き粉・美化し、魅力を増し、容貌を変えるもの    例)一般的な化粧品、香水・人の皮膚もしくは、毛髪を健やかに保つもの  例)スキンケア用品、毛髪用剤 ④医療機器・人若しくは動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されるもの・人若しくは、動物の身体の構造若しくは、機能に影響を及ぼすことが目的とされているもの ⑤再生医療等製品・iPS細胞を利用した細胞シートやヒト細胞に遺伝子導入した医薬品など 特に日本が世界に誇るIPS細胞などを用いた再生医療等製品が2014年の薬機法の改正で薬機法の対象に加わった。医療機器と計測機器類と健康介護機器類は、非常によく似ていて紛らわしい。また日米欧、それぞれの国によって医療機器になるか健康介護機器になるかなど、規制が異なるので、申請する国の規制をよく調査することが必要である。 医療機器、計測機器類、健康介護機器類について 日本における医療機器とは以下のようなものである。・歯科材料              ・体外診断用機器・コンタクトレンズ  ・血圧計・眼鏡         ・注射器・補聴器        ・体温計・家庭用マッサージ機 日本の場合は特にこの体外診断機器がかなり進歩しており、世界の市場を占めている。その体外診断用機器に使用する体外診断用医薬品は、医薬品とは呼んではいるが医療機器に含まれている。電子血圧計、電子体温計は、電気用機器(ME機器)と呼ばれる範疇の医療機器になっている。 計測機器類とは以下のようなものがある。・体重計・運動量計・気体液体分析計 また、健康介護機器類とは以下のようなものがある。・車いす              ・杖・電動ベッド            ・電動歯ブラシ・コルセット           

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医療機器の設計・開発・申請における規制要件入門 ~品質、有効性及び安全性の確保~ 6講 医療機器申請と当局査察

承認を早期に取得するためには「申請戦略」から各設計文書を整備する必要がある 医療機器メーカーには、品目の承認または認証を早期に取得したいという要求があり、どうやれば申請がうまくいくか?早く通せるか?ということに注意が向くものだが、まずやらなければならないことは申請戦略を作ることである。 その申請戦略に基づいて、エビデンスを揃えて、申請資料を作らなければならないのである。 先の章で紹介したように、ユーザーの要求を集め、規制要求を集めて有効性を証明する、安全情報から来る安全要求で安全性を証明する。さらに先行機種や類似機種に比べて特性・特質があるので、既に世の中に出ている機器または他社品、類似品に対してどんな特徴があるか特性があるかを出す。新たな特性・特質により、前のものと性能の違う機能を持たせると新たにハザードが生まれ、新たに生まれるリスクをマネージメントする必要が出てくる。少なくとも先行品に対して同等性を評価しなければならないし、同等以上のものでなければならない。申請をする段になってこの試験が足りない、あの試験が足りないということにならないように、例えば改良医療機器として申請しようとしているのに新しい機能を付け加えてしまった、それによって新規医療機器になってしまったとか、クラスIIで抑えようと思ったのに、気がついたらクラスⅢになってしまっていた、などということがないようにしなければならない。 方針 (Step1) 〜申請資料〜 申請資料は、まず鏡として申請書がある。その下にステッドっていうものがある、これが申請概要である。認証を受ける場合も承認を受ける場合も、このステッドを必ず書かなければならない。このステッドというのは、サマリー文書のことをいう。テクニカルドキュメントのサマリー文書は、日本語で言うと申請概要と言われるものである。設計部門は、色々な設計資料、設計文書や仕様書であるとかまたはテストの記録、または外部試験機関による試験結果、成績証明書等を集めているが、それらすべてを認証申請の時に出すわけではない。大事なことは、それらを集めた申請概要を書かなければならないということである その申請概要の書き方、ステッドの書き方というのは当局から出ている。書き方の例というのがでているので、それを参照し作成する。 その根拠資料たるテクニカル文書(設計文書)は、いつ見られるかというと、申請をして、ステッドを見て。当局の方で信頼性調査を選ぶ。例えば二つ選ばれ、この資料を見せてください、次はこの資料を見せてくださいという風にランダムに選ばれる。どの資料を見せてくれと言われるか分からないので、すべての資料を取り揃えておかなければならない。 もし当局からの調査依頼に対して資料がなかった場合、慌てて作ったとしても間に合わない。医療機器の承認審査の期間というのは期限が決められており、その間に必要な資料が出せないと、申請が却下になってしまうということもあるので気をつけなければならない。 こういった根拠資料、多くの仕様書、そしてテスト結果、検証の記録、試験の成績書、これらの物を集めて、それをサマリーした文書がステッドと呼ばれるもので、このステッドを申請戦略に基づいて書くということが申請資料を作るということに相当する。 PMDA申請における調査対象 でここで気をつけていただきたいことなのですけどではどういう調査を受けるかということなのですね 昨今は大学が要素技術を持っていることがある。例えばソフトウェアのアルゴリズムだけあるなどするのだが、アルゴリズムだけあっても、実際には文書がないので、それでは設計したということにならない。またもう一つは、この要素技術はどちらかといえば有効性の方で、安全設計はされてないことが多い。そこで必要なのは図の青色に書いた要素技術をさらに拡大した、医療機器設計、医療機器に大事なことは安全設計なので、グリーンのエリアまで広めなければならないということなのだ。さらに規制要件とか国際規格に沿ってその設計を管理しなければならない。これを設計管理(フレームワーク)と言う 後述するが、設計と設計管理の違いを分かってない方が非常に多い。設計と設計管理は異なるのである。 まず承認や認証で見られるのが、この医療機器設計の部分になる。特に設計資料の中で、どんな機能で、どういう仕様で、どんな性能で、その結果がどうであって、ということともう一つは、安全設計が正しくされて、リスクが回避されている、リスクが低減されているかということである。これを審査して、当該の医療機器は有効性・安全性がある、という結論になる。 で、もう一つ大事なことは、このQMS適合性調査というのが行われますこれは設計管理が対象になる。 設計と設計管理の違いについて述べる 医療機器の「設計」というのは、その医療機器そのものの有効性・安全性の審査のために必要となる。一方で「設計管理」というのは、設計計画書を作ったか、計画書を遵守したか、結果が管理され、結果が記録として残っているか、当然内容が改ざんされていないこと、正しいことそういうことも管理しなければならない。

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医療機器の設計・開発・申請における規制要件入門 ~品質、有効性及び安全性の確保~ 5講 医療機器と有効性

臨床評価とは? 医療機器というのは必ず臨床データを集めなければならないということになっている。これを臨床評価という。診断装置(IVD)、診断機器または診断薬を作られている企業の方々の場合は、臨床評価はなく性能評価と言いう。医療機器は臨床評価、診断機器または診断薬は性能評価と言う。 実際の医療機器は人で使われるので、人を用いた臨床データを収集することによって、その有効性を評価するということは、極めて重要である。 臨床評価の中でも特に医療機関に依頼してプロトコールを作って恣意的に患者さんを集めてやる評価のことを臨床試験と言い、別名治験とも言う。治験というのは、治療的実験を略して治験という。臨床試験が義務付けられる場合もあるが、多くの場合は臨床評価を実施する。医療機器であるが故に、たとえクラスI機器であっても臨床評価が必要である。臨床評価をしないでいい医療機器は何一つない。なおこの臨床評価の結果も申請資料に添付をしなければならない。 臨床評価の実施時期 臨床評価は医療系のライフサイクルを通して実施される継続的なプロセスである。よって、申請が終わったらもう臨床評価をしないでいいということではない。 まず市場参入に必要なデータを特定して、入手する目的で医療機器の開発中に実施する。けれども臨床評価は欧州の場合、最初のCEマーク取得には必須であって、その後積極的に更新しなければならないという規則が出されており、これPMCF (Post Marketing Clinical Follow-up)という。要するに設計開発中に臨床評価をすることと、もう一つは、リスクと同じで市場に出て以降も本当に有効性があるかということを、リアルワールドデータ (RWD)と言いますね本当の臨床の現場で、リアルワールドで評価するということが極めて重要になっている。 なぜ、臨床評価が重要か? なぜ臨床評価が重要かというと、前述のように、そもそも医療機器は人に対して使用するものなので、臨床評価に安全性と有効性を評価する事は当然であると言える。よって臨床評価は医療機器の安全性と性能が十分な臨床的なエビデンスに基づいて市場における機器のライフサイクルを通して継続的に評価されていることを保証するために重要であるということである。 なぜ、継続的な臨床評価が必要か? 医療機器の開発時に想定されたリスクベネフィット比というものがある。 リスクベネフィット比とは、医療機器にリスクがあっても、ベネフィット(効用)がリスクを上回っていれば、医療機器は上市することが可能である。 ところがここで一つ読者にご承知おきいただきたいことがある。医療機器は上市して以降、有効性は下がる一方であり、リスクは上がる一方なのだ。なぜならば、有効性(ベネフィット)が下がるのは、新しい医療機器、新しいセラピー、新しい治療薬、この医療機器に代わるもの、例えば内服薬は出るなどにより、別の治療方法が見つかるとか、技術革新が起きるという事が発生するからである。よって、上市した瞬間から有効性(ベネフィット)は下がり始めていく。 一方で電子レンジに猫を入れた例を紹介したが、上市後、時間の経過とともに開発時、設計時には思いもよらなかったリスクが発生してくるので、リスクは上がる一方になる。すなわち上市した瞬間からリスクベネフィット比が、どんどん悪くなっていくのである。 そこで継続的にこのリスクベネフィット比というものをモニタリングしなければならない。リスクベネフィット比を常に評価をしていくと、時間の経過とともに果たして最初に申請した段階のリスクベネフィット比が維持できているのかどうか、これを評価する必要がある。専門的にはState

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医療機器の設計・開発・申請における規制要件入門 ~品質、有効性及び安全性の確保~ 1講 医療機器と規制要件

そもそも、医療機器はなぜ規制される? 医療機器というのは、人の生命に直接的な影響を与える。医療機器として認められるためには、品質(Quality)と有効性(Efficacy)と安全性(Safety)の三つ、SEQの証明(確保)が必要である。SEQを証明した申請資料を当局または認証機関に提出して、認められなければならない。 医療機器の規制目的(日本の厚生労働省、米国FDA、欧州とも目的は同じ) 「良質高度な医療製品の国民への提供」(推進)と「医療機器の安全性と効果効能を規制することで国民の健康被害を防止」(規制)の2つの目的があり、自動車のアクセルとブレーキに例えることができる。 薬事法から医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律への改定 薬事法は、昭和35年に制定された。薬事という名前により医薬品を想像させるため、「薬事法等の一部を改定する法律」(平成25年11月27日、平成25年法律第84号。「改正法」)により、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、薬機法)に改められた。特徴的なことは、2つあり、タイトルに医療機器という名前が入ったことと、品質、安全性、有効性の3つの要素が盛り込まれたことである。 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、薬機法) 薬機法で規制される製品は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の5つである。薬機法には2つの目的があり、一つは、品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行う(ブレーキ)。もう一つは、医療上特にその必要性が高い医薬品医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進(アクセル)である。厚生労働省又は経済産業省が製品の研究開発を促進するアクセルの役割を担い、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が審査・承認や必要な規制をするブレーキの役割を担っている。 医療機器製造販売業の許可、品質保証体制、安全管理体制の構築 薬機法には、「次の各号のいずれかに該当するときは、前条第一項の許可を与えないことができる。」と記載されており、これは厚生労働省令で定める基準に適合しなければならないという意味である。 基準の一つ目は、「申請に係る医療機器又は対外診断用医薬品の製造管理又は品質管理に係る業務を行う体制が、厚生労働省令で定める基準に適合しないとき。」と記載されており、これは厚生労働省令第94号(体制省令)により、体制を作らなければならないということである。基準の二つ目は、「申請に係る医療機器又は対外診断用医薬品の製造販売後安全管理の方法が、厚生労働省令で定める基準に適合しないとき。」との記載があり、厚生労働省令第135号GVP(Good Vigilance Practice)省令に適合しなければならない。 国は、医療機器又は体外診断用医薬品の製造管理又は品質管理に係る業務を行う体制の基準(体制)、製造管理及び品質管理の基準(QMS)、医療機器の市販後安全管理に関する基準(GVP)を、省令として公布している。医療機器の製造販売業許可業者は、これらの省令にしたがって、適切に、医療機器の品質管理・安全管理を行わねばならない。その体制が整っていることが、「許可の取得」「許可の維持」の要件となっている。  規制する3つの要素 医療機器を規制する要素は3つある    品質システム規格の歴史とQMS省令 医療機器に関する規制要件は、日米欧でそれぞれ作られてきた。米国では、ケミカル由来の医薬品とデバイス由来の医療機器では規制の内容が違うため、医薬品のGMPから医療機器のGMPが別れ、その後1997年に米国FDAは医療機器QSR(Quality System

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医療機器の設計・開発・申請における規制要件入門 ~品質、有効性及び安全性の確保~ 3講 医療機器と品質

医療機器開発の目的は「QOL」の改善である 患者・ユーザーのQOL(Quality of Life)改善のために重要である。より侵襲度の低い医療機器より精度の高い医療機器より使いやすい医療機器より安全な医療機器                                            : 例えば血糖値を測るのにランセット針で毎回血液を採取するものよりも、カフを巻いて侵襲せずに測定できるものがあればよりQOLは改善される。医療機器の場合は、技術の進歩とともに、その機能や性能が改良されていくことが重要なのでる。これも患者・ユーザーのQOLの改善である。 品質の4つの種類 品質には以下の4つがある。①企画の品質: 製品で実現しようとしている特性に対する顧客の要求②設計の品質: 企画の段階で検討された特性の水準や品質仕様③製造の品質: 図面・仕様書などの設計文書④サービスの品質: 調整、据え付け、消耗品の補給、不良品などへの対応に対する顧客の要求 実際の医療現場の方々、医療従事者や患者がどのような医療機器、どのような機能を持った医療機器、どのような性能を持った医療機器を望んでおられるかそういう顧客の要求事項を集めてくることは極めて重要である。顧客の要求を満たした企画をする、これが企画の品質である。 設計の品質は、企画で要求された特性の水準や品質仕様を満たすように設計をしなければならない。設計のゴールは2つあり、一つは図面を出して製造できることであり、もう一つは設計資料を出して申請できるようにし審査で承認を取ることである。 製造の品質は、医療機器の場合はたとえ設計が適切であっても製造でもしミスを犯してしまうと品質の悪い医療機器が市場に流れてしまうので、製造の品質を十分に管理する必要がある。製造は何度繰り返しても同じ企画で同じ品質で安全性を担保した医療機器を製造できなければならない。これが製造の品質である。逆もまた真であり、製造が適切であっても設計が間違っていれば安全な医療器にはならない。医療機器においてはこの設計の品質管理と製造の品質管理が極めて重要なのである。 サービスの品質は、例えば調整据付消耗品の補給、不良品などへの対応、定期的なメンテナンス、校正、教育訓練などを言う。医療機器が医薬品と異なる点は、医薬品は患者が服薬すれば終わるのに対して、医療機器は使用し続けるので、その間に起こる誤使用や経年劣化や故障などに対応し安全性を維持しなければならない。 医療機器の開発で重要なこと ~顧客重視~ ISO-13485:2016の記載事項 「5 経営者の責任5.2 

Quality Risk Management

品質リスクマネジメントの要点

品質リスクマネジメントの要点 ICH Q9 「品質リスクマネジメントに関するガイドライン」が発出されたのは、2006年9月1日である。つまりリスクの高い医薬品業界において、20世紀中はリスクマネジメントに関する標準やガイドラインがなかったのである。 食品業界においてはHACCP(ハセップ)と呼ばれるリスクマネジメント手法が1970年代からあった。また医療機器業界においては 国際規格であるISO 14971が1990年代から存在した。 しばしば”クスリ”を逆に読めば”リスク”と言われる。しかしながら、20世紀における医薬品の製造は、なんらかのガイドラインもなく人の経験と勘に頼っていたのである。品質リスクマネジメントは、要員の経験と勘に頼るのではなく、科学的なリスクマネジメントを実施することが重要である。 品質リスクマネジメントにおいては、医薬品の「品質」における欠陥が患者に及ぼす「健康被害」を管理する。医療機器におけるリスクマネジメントは、当該機器の故障が患者やユーザに直接影響を与えるのに対して、医薬品の製造におけるリスクは、何らかの失敗事象が医薬品の品質に結果をもたらし、欠陥を持った医薬品が患者に投薬された際に何らかの健康被害を及ぼすと言った、いわば間接的なリスクマネジメントである。これが「リスクマネジメント」ではなく「品質リスクマネジメント」と呼ばれる所以である。 つまり、医療機器等におけるリスクマネジメントはダイレクト(直接的)であるのに対して、医薬品におけるリスクマネジメントは品質を介して患者に健康被害を与えると言った、インダイレクト(間接的)なリスクマネージメントである。 製造所における構造設備等の欠陥(故障、操作ミス等)が医薬品の品質に及ぼす影響を抽出するのである。なお、ICH-Q9は、医薬品のライフサイクル全般(開発、製造、配送、査察及び承認申請/審査)をカバーしている。つまり製薬企業のみならず規制当局も遵守義務があるのである。また医薬品製造のみならず医薬品の開発もその適用範囲に含まれる。 品質リスクマネジメントは、医薬品品質システムと表裏一体をなし、ライフサイクルモデル(PDCA)を基本としなければならない。つまり、品質リスクマネジメントは、決して医薬品品質システムの1プロセスではない。また、品質リスクマネジメントを実施する専門部署を設置する訳ではない。さらに、品質リスクマネジメントを実施するSOPを1冊作成する訳でもない。規制対象のすべての既存部門のすべての既存SOPに品質リスクマネジメントの概念を入れ込まなければならないのである。 品質リスクマネジメントでは、医薬品製造における「医薬品の品質に欠陥を生じさせるリスク」を適切にマネジメント(管理)し、患者への健康被害を防止することが目的である。例えば、・構造設備の故障・ヒューマンエラー・ソフトウェアのバグ・データインテグリティの欠陥等である。 一方において、いたずらにコンプライアンスコストをはね上げ、結果的に患者負担を増大させないことに留意しなければならない。リスクベースドアプローチをとること。 改正 GMP 省令においては、品質リスクマネジメント責任者を設置することとなった。(改正GMP省令 第3条の4 第2項) 構造設備における品質リスクマネジメントでは、故障、操作ミス(ヒューマンエラー)などの失敗事象に対して、主にFMEAを使用する。設備導入時に実施すること。適格性評価(クオリフィケーション)におけるOQでFMEAを使用し、リスクコントロールを検証(リスクが十分に低減したことを確認)すること。自動化装置(コンピュータ化システム)では、CSVを実施し品質リスクを低減すること。 関連商品

Pharmaceutical, Validation

IOQの実施について

IOQの実施について 最近ではIQとOQを同時に実施するケースが増えている。これは、2015年にPIC/S GMP Annex 15 「適格性評価とバリデーション」が改定されてから、IQとOQは同時に実施することが可能となったためである。OQは、通常IQの後に実施されるが、装置の複雑さによっては、同時にIOQとして実施しても構わない。またIQとOQの文書を一つにまとめても構わない。 IQは、装置、施設、ユーティリティもしくはシステムについて実施すること。IQでは下記の項目などを実施する。  1. エンジニアの図や詳述に対して、構成要素、機器類、装置、配管工事やサービスの正しい設置の相互確認 2. あらかじめ定めた条件に対して正しく据付けられたことの検証 3. サプライヤからのオペレーション・作業要領、メンテナンス要件の収集と照合 4. 計測器の校正 5. 建設材料の検証 OQは、通常IQの後に実施されるが、装置の複雑さによっては、同時にIOQとして実施しても構わない。OQでは下記の項目などを実施する。  1. システムが設計どおり操作しているかを確かめるためのプロセス、システム、設備に関する知識を基に開発したテスト 2. 運転の上限及び下限/「ワーストケース」を確認するためのテスト 成功裏にOQが終了すれば、標準作業手順および洗浄手順、作業者訓練や予防的メンテナンスの要件等を最終化できる。 DQ、PQの省略について 最近では構造設備とはカタログ品(既製品)を購入することが多く DQはほぼ実施されなくなった。またPIC/S GMP Annex 15によると、PQはOQもしくはプロセスバリデーションと合せて実行してもよい。従って構造設備のバリデーションにおいてDQやPQはほぼ実施されない。 IQとOQが完了してから、PQを実施すること。しかし、場合によっては、PQはOQまたはプロセスバリデーションと合せて実行してもよい。PQでは下記の項目などを実施する。  1. ワーストケースのバッチサイズで、製造用原料、適格性評価された代用品、または通常の運転条件で同じ挙動をとることが証明された模擬製品を用いたテスト。プロセスの管理状態を確認するために用いるサンプリングの頻度が適切であるという根拠を示すこと。 2. 開発段階からの運転範囲を裏付ける文書化された証拠がない限り、テストは意図したプロセスの運転範囲をカバーすること。 FAT/SAT

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