CAPA, FDA QSR(21 CFR Part 820)

FDA査察対応CAPA手順書の作成方法

ISO-13485とFDAの要求の違い FDAのCAPA要求では、是正処置(Corrective Action)を実施した場合には、原則として予防処置(Preventive Action)を実施しなければならない。企業によっては、是正処置と予防処置を分離している場合があるが、FDAの査察官から指摘を受ける可能性があるため、注意が必要だ。 また、CAPAフォーム(CAPAの記録様式)には、是正処置/予防処置によって変更された手順書がある場合は、明記しておかなければならない。 さらに、是正処置/予防処置を実施した場合に、影響を受ける関係者に教育訓練を実施した記録を、CAPAフォーム(CAPAの記録様式)に記載しておかなければならない。 上記2点については、ほとんどの企業で指摘を受けていることなので、注意したい。 FDA QSRが要求するCAPAの7ステップ QSR 820.100(a)においては、以下の7ステップを実施することが要求されている。 工程・作業・特別採用・品質監査報告・品質記録・サービス記録・苦情・返品およびその他の情報源から得た品質データに対して分析を行い、製品の不適合の現存の原因および潜在原因、またはその他の品質問題を識別する。適切な統計的手法を必要な場合に使用して、再発している品質問題を検出する。 製品、工程、および品質システムに関する不適合の原因を調査する。 不適合品の再発およびその他の品質問題を是正し予防するため必要な処置を識別する。 是正処置および予防処置を検証しまたは妥当性確認して、そのような処置が有効であり、完成機器に悪影響を与えないことを確実にする。 方法および手順の変更が、識別された品質問題を是正し防止するために必要になった場合、それらを実施し記録する。 不適合品および品質問題に関する情報が、そのような製品の品質に、またはそのような問題の防止に責任をもつ者に伝えられることを確実にする。 識別された品質問題、並びに是正処置および予防処置に関する情報を、マネージメント・レビュー(経営者による見直し)のために提出する。 CAPA手順書は、上記の7ステップを完全に網羅することが求められる。 FDAの指摘の事例 […]

CAPA

CAPAの誤解

CAPAとは 日本においてCAPAを誤解している企業が多い。FDAはCAPAの査察を強化している。 CAPAとは、Corrective Action; Preventive Actionである。日本語では、是正処置、予防処置と呼ばれている。 是正処置は「同じ場所で再度同じことが起きないようにする」ことであるのに対して、予防処置は「まだ起こっていない場所で予測して防止する」ことである。予防処置は、リスク管理のことである。 CAPAでは、ある好ましくない事象に対して「応急処置」「修正」「是正処置」「予防処置」の順に対応を行う。 例として、飲酒運転による事故を考えてみよう。「応急処置」けが人の手当てを行う。「修正」2次災害が発生しないように、安全標識を立てる。「是正処置」当該運転手の免許証を取り消す。(再発防止)「予防処置」危険運転致死傷罪を制定する。(飲酒事故と同様な悲惨な死傷事故を招く他の行為を罰する) 海外でも、Corrective(是正)という用語をCorrection(修正)と誤解していることがしばしば指摘されている。 『修正』とは、直接的原因を調査し、その原因をつぶすことをいう。それに対して『是正』とは、根本的原因を調査し、その原因をつぶすことを言う。つまり、『是正』の目的は、根本的原因を取り除くことによる『再発防止』である。 FDA等の規制当局が要求するのは、言うもでもなく『修正』のみではなく『是正』である。そのためには根本的原因を追究しなければならない。 FDAのCAPA要求では、是正処置を実施した場合には、原則として予防処置を実施しなければならない。企業によっては、是正処置と予防処置を分離している場合があるが、査察官から指摘を受ける可能性があるため、注意が必要だ。 2013年1月に、飛行中の全日空のボーイング787型機のバッテリーから発煙し、緊急着陸した事態があった。これが直接のきっかけになって、同型機は世界で運航が止まった。徹底的な調査を繰り返したが、根本的原因はわからずじまいであった。つまり是正処置がとれずじまいとなった。米国の航空当局は、バッテリーは改修されて多層的な安全装置を施されており、大事故は起きないとして、運航再開を許可した。なぜならば、そのまま飛行を禁止すると、ボーイング社が世界の航空会社から多大な損害賠償を求められる可能性があったからだという。 根本的原因を発見できなければ、是正ができず、再発を防止できない。そんな場合は、徹底した予防処置が必要となる。 QMS省令では当然のことながら、改正GMP省令(2020年度)においてもCAPAの徹底した実施と管理が求められる。しかしながら、企業の多くはCAPAを正しく理解していない。 改善について 「カイゼン」という用語は、世界で通用する有名な日本語の1つである。1970年代に日本車が米国を席巻した。日本車は価格が安いが、故障しない。また燃費も優れている。脅威に感じた米国の3大モータースは、日本の自動車メーカーの品質管理について徹底的に調査を行った。その結果、たどり着いたのが「トヨタの改善方式」である。 この「カイゼン」が海を渡って米国に導入され、米国流にカスタマイズされた。日本ではQCはボトムアップ型で実施されるが、欧米ではトップダウン型である。CAPAは日本の「カイゼン」をトップダウン型にカスタマイズしたものなのである。 つまりCAPAは日本生まれの米国育ちである。しかしながら、そのCAPAの実施と管理において、米国FDAなどからしばしば指摘を受けている。本来は日本のお家芸であったにもかかわらずである。

CSV,ER/ES,DI, Medical Device, コンピュータシステム導入, 医療機器ソフトウェア

医療機器企業におけるソフトウェア バリデーション

医療機器企業が実施しなければならないソフトウェアバリデーション について FDAガイダンス「General Principles of Software Validation」において医療機器企業がソフトウェア のバリデーション を実施しなければならないものとして以下の4種類があげられている。 これらのうち上の2つは設計バリデーション の対象となり、下2つはCSV(Computerrized System Validation)の対象である。 医療機器企業におけるソフトウェア バリデーション 規制要件 FDAが査察を行う理由はただ一つである。それは、粗悪な医療機器の米国輸出を阻止 し、米国における患者・ユーザを保護することである。昨今の医療機器では、ソフトウェア が搭載されていることが多い。 海外では、医療機器に搭載するソフトウェア の開発には、非常に厳格な規制要件の 遵守が義務付けられている。IEC62304「Medical device software – Software life cycle

Medical Device, 医療機器ソフトウェア, 医療機器新規参入

医療機器ソフトウェアの製造・販売をするためには

2014年11月25日から、薬事法が一部改正された。これにより、現在の「薬事法」という名称から、「医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)という名称に変更される。 医薬品医療機器等法のポイントはこちら。 日本国内で医療機器となるソフトウェアを設計・製造・販売するためには 改正法では、医療機器の「機械器具等」の範疇に、「ソフトウェア(プログラム)」が追加されといった大きな変更がなされた。これまではソフトウェアはハードウェアに含められて、医療機器とみなされてきたが、改正法下では、プログラム単体でも医療機器となる可能性がある。例えば、診断等に用いる単体プログラムについて、医療機器として製造販売の承認・認証等の対象となる。 したがって、改正法下で医療機器に該当するソフトウェアを開発する企業において、医療機器の製造販売業許可の取得や、製造業の登録が必要となった。 製造販売業 製造販売業については、高度管理医療機器、管理医療機器等の種類に応じて許可を取得する必要がある。(新法第23 条の2関係) 医療機器を市場に出す事業者(製造販売業者。輸入業者も含まれる。)は、医療機器の製造販売業許可を取得することになる。医療機器を日本国内市場に出すにあたっては、医療機器の品質が保証され、ユーザーや患者、医療関係者等の安全が確保されるものでなければならない。そのため、医薬品医療機器等法では、製造販売業許可の要件として、品質保証と安全管理の体制を整えることが求められている。医療機器製造販売業許可は、「事業者」が取得する。一法人にひとつの許可。(第1種医療機器製造販売業許可と第3種医療機器製造販売業許可を同時に持つことはない。)複数の営業所がある場合は、総括製造販売責任者の常駐する事業所(本社等)がある都道府県知事に、許可を申請する。 医薬品医療機器等法施行後は、製造販売業がQMS省令の対象となる。従来のように製造所毎に別個に調査・判定をするのではなく、製造販売業者に対して、品質システム全体を包括的に調査・判定することになった。 製造販売業者の責任業務 製造販売業者は、次に掲げる業務を行わなければならない。 QMSに必要な工程の内容(当該工程により達成される結果を含む。)を明らかにするとともに、当該工程のそれぞれについて、各施設の関与の態様を明確にすること。 工程の順序および相互の関係を明確にすること。 工程の実施および管理の実効性の確保に必要な判定基準および方法を明確にすること。 工程の実施、監視および測定に必要な資源および情報が利用できるようにすること。 工程を監視し、測定し、および分析すること。 工程について、1.の結果を得るために、および実効性を維持するために所要の措置を採ること。 QMSの構築 製造販売業者は、新QMS省令にもとづき、QMSの構築を行わなければならない。

ISO-13485:2016, Medical Device

品質マネジメントシステム

【連載】ISO-13485:2016対応の要点 【第2回】品質マネジメントシステム 品質マネジメントシステムとは ISO-13485:2016の第4章では「品質マネジメントシステム」についての要求事項が記載されている。 4 品質マネジメントシステム4.1 一般要求事項4.2 文書化に関する要求事項 4.2.1 一般 4.2.2 品質マニュアル 4.2.3 医療機器ファイル 4.2.4 文書管理 4.2.5 記録の管理 ISO-13485の箇条で最も大事な要件を集めた章であると筆者は考えている。 なお品質マネジメントシステム(QMS:Quality Manegement System)は、FDAの場合品質システム(QS:Quality System)と呼んでいる。それらの意図はまったく同じである。 ISO-9000では、「品質マネジメントシステム」を次のように定義している。 (a)品質マネジメント(Quality

ISO-13485:2016, Medical Device

ISO-13485改定の要点

【連載】ISO-13485:2016対応の要点 【第1回】ISO-13485改定の要点 2016年2月25日にISO-13485:2016が発行された。 ISO13485:2003からの認証の移行期間は、ISO 9001と同じで以下とおりである。 移行期間は3年間。(改定後3年間は、旧版(ISO13485:2003)での認証が有効である。) 改定後2年間は、旧版(ISO13485:2003)での認証が可能である。 改定後2年たってから3年までの期間は新版(ISO 13485:2016)でのみ新たな認証が可能である。 従って、多くに医療機器企業はあと1年足らずの間にISO-13485:2016に移行しなければならない。 ISO-13485の改定に先んじて、2015年9月15日にISO-9001が改定された。しかしながら、ISO-13485は、ISO-9001:2015には追従せず、ISO-9001:2008に整合させている。そのため、マネジメントシステムの共通のMSS(Management System Standard)要求仕様であるAnnex SLに従わず、従来の構造のままである。ISO-9001が、今後Annex SLのMSSに従った改定を行った後に、ISO-9001に合わせる方向で、再度Annex SLに従う構造への改定を行うことになる。 ISO-13485:2016の改定の主な目的 ISO-13485改定の主な目的は、 QMS要求事項の明確化 現状の各国規制との整合

Pharmaceutical

コンピュータ化システムの3大原則

2013年1月1日に改定されたPIC/S GMP ANNEX 11 「Computerised Systems」の原則には以下のような記載がある。『マニュアルベースの作業をコンピュータ化システムに置き換える場合、結果として製品の品質、プロセスコントロールつまり品質保証を劣化させてはならない。プロセスの全般的なリスクが増えてもいけない。』これはコンピュータ化システム(自動化システム)を導入する上での原則である。マニュアルベースの作業(手作業)をコンピュータ化(自動化)した際に、以下の3つを保証しなければならない。 製品の品質を劣化させない。 製品の品質保証を劣化させない。 リスクを増やさない。 ということである。 たとえば、昔はお米をお釜で炊いていた。手作業で「はじめちょろちょろなかぱっぱっ 赤子泣いても蓋とるな」といった具合に、口伝でおいしいお米の炊き方を継承してきた。現代では、お釜はマイコン炊飯ジャーにとって変わった。”マイコン”とはマイクロコンピュータの略である。すなわちお釜というハードウェアにICチップが搭載されており、ファームウェアと呼ばれる小さなプログラムによって制御(コントロール)されている。 マイコン炊飯ジャー(自動化システム)において重要なことは、 お釜でお米を炊いていた時と同じおいしさ、食感、甘さ、艶加減で炊き上げる。(品質を劣化させない) 炊飯する度に品質が異ならない。(品質保証を劣化させない) 食中毒を起こさない。(リスクを増やさない) ということである。 つまりバリデーションの目的は、手作業で出来ていたことと同じ事が、コンピュータ化されたシステムでも出来なければならないということである。 ]]>

GMP, GMP省令改正(2021年)関連, Pharmaceutical

GMP省令の改正について

本邦において、来春に「GMP省令」および「QMS省令」が改正されることとなった。共に国際整合を図るため、医薬品及び医療機器における規制要件の改正が必要になったわけである。 GMP省令の改正においては、おおよそ以下の要件が追加されることになりそうだ。 1.医薬品品質システム2.承認書遵守の徹底3.PIC/S GMPガイドライン重要項目4.品質保証(QA)業務担当の設置5.品質リスクマネジメント(第五条)6.製販業者への連絡・連携7.設備共用に関する規定8.Data Integrity9.原料及び資材の参考品保管・製品の保存品保管(第十四条に追加)10.製品品質の照査(第十五条)11.安定性モニタリング(第十六条)12.原料等の供給者管理(第十七条) また、用語の定義がICH-Q10と整合される。例えば、「医薬品品質システム」、「上級経営陣」、「是正措置」、「予防措置」、「品質」などが第2条(定義)に追記されることとなった。 この中でも、「医薬品品質システム」というものは聞き慣れない用語であると思われる。品質システム(QS:Quality System)はISO-9001では品質管理システム(QMS:Quality Management System)と呼ばれている。品質システムはPDCA(Plan、Do、Check、Action)を基本とする。 「医薬品品質システム」においては、経営層(トップマネジメント)の関与が求められる。トップマネジメントは、医薬品品質システムの確立と実施の責任を持つ。すなわち企業全体としての品質保証が要求されるのである。また、経営層は定期的にマネジメントレビュによって品質をレビュし、「医薬品品質システム」の見直しを実施しなければならない。それにより、医薬品のライフサイクル全期間での継続的改善を促進することとなる。 さらに品質保証部門(QA)は、是正措置や予防措置(CAPA)を通じて、品質の改善を実施しなければならない。日本企業はCAPAを適切に理解していない。それが最大の問題である。 そもそもGMPとは「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」である。つまり基準に過ぎない。その中には、品質管理、品質リスクマネジメント、品質保証といった概念がないのである。それら3つのカテゴリを補足したものがいわゆるICH Qトリオ(Q8、Q9、Q10)である。これまで本邦では、ICH Qトリオは省令ではなく課長通知として発出されてきた。今般、これらの概念がGMP省令に盛り込まれることになった訳である。 日本の医薬品企業においては、ISO-9001などの品質マネジメント規格に精通した要員が不足している。またISO-9001に従った品質マニュアルを確立している企業もほとんど存在しない。したがって、今後多くの製薬企業社員やOBなどが改正GMPに関するセミナーや書籍を発行するであろうが、「医薬品品質システム」の本質を理解している人は皆無に近いであろう。 ICH Q10(医薬品品質システム)の取り込みはグローバルな流れでもある。したがって、改正GMP省令においては、ICH Q10の浸透が強く要求されることになる。 改正GMPにおいて、最も大きな追加事項としては、各種SOPにData

Medical Device

劣化する日本の品質

日経ビジネスデジタル版に興味深い記事が掲載されていた。筆者は医療機器企業をコンサルティングしていて、どの企業にも品質に関する意識が薄いことに危惧している。今回は日経ビジネスデジタル版の記事を抜粋して引用したい。 製造などの現場で働く従業員からの改善提案が激減している。 日本HR協会による改善実績調査の結果によると、1997年度に約114万人から2686万件あった改善提案は、2016年度は約37万人から528万件へと5分の1以下にまで減少した。 もちろん、設計段階での品質が向上し、製造現場における不良品が減少したことで、「改善ネタ」を見つけにくくなっている面はある。一方で「改善活動はマンネリ化し、発表会で笑いを取るための漫才の練習にばかり精を出すチームも現れたりした」(建機メーカーの工場関係者)。何のための「改善」か。その意識すら乏しい現場があるのも事実だろう。 そんな「品質軽視」の風潮は実際の製品の品質に反映される。かつて世界で「不具合が少ない」と称されてきた日本メーカーのクルマを見れば、その一端がうかがえる。 上図は、米調査会社J.D.パワーが発表する米国における自動車の初期品質調査結果の抜粋だ。車両購入後90日間での新車の品質を調べるもので、100台当たりの不具合指摘件数として算出される。米国が最大市場である日本の自動車メーカーが関心を持ち続けてきた指標だ。 17年6月に発表された結果は衝撃的だった。1位は韓国の起亜自動車。前述の表では省略したが、2位も韓国メーカーで、現代自動車の高級車ブランド「ジェネシス」が入った。 対照的に、日本勢は日産の10位が最高だった。トヨタ自動車も業界平均を何とか上回る程度で、同社の高級車ブランド「レクサス」は平均値すら下回った。そのレクサスが1位だったのは、わずか6年前のことだ。 「この結果は大問題だ。レクサスの初期品質が平均以下なんてあり得ない。トヨタの品質が落ちたと言われかねない」。あるトヨタの元役員は厳しい表情でこう語る。 レクサスに限らない。17年に下位に沈んだホンダやマツダも11年は2位、5位と上位だった。これを見るだけでも、日本勢の凋落ぶりがうかがえる。 出典 【日経ビジネスデジタル】蔓延する品質軽視 これだけの必然より転載http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/special/122600882/?P=1&ST=pc 関連商品 ]]>

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