製薬業界におけるグローバルプロジェクト(2000年8月執筆)
*万が一文中に解釈の間違い等がありましても、当社では責任をとりかねます。本文書の改訂は予告なく行われることがあります。 製薬業界におけるグローバルプロジェクト 要約 どの業種でも同じことが言えると思うが、世の中のグローバル化の波を迎え、製薬業界も積極的に海外展開に打って出なければならなくなった。言葉も文化も違う日本にとって、海外への業務展開には数多くの問題が存在する。最近重要視されてきているITの世界でも、グローバルスタンダードに適したシステムの採用が重要となってきている。しかしながら一口にグローバルスタンダードといっても、日本の企業にとって克服すべき点は数多くある。世界の大手製薬会社では、欧米での統合はかなり進んできている。しかしながら、日本を含めた3極を統合することは文化の違い、言語に違いもあいまってなかなか進んでいないのが現状である。日本の企業が世界へ出て行くことが困難なように、外資系の企業が日本に参入するにも数多くの困難がある。日本の文化のユニーク性や言語の違いといった、いわゆる非関税障壁にも似た障壁が存在する。最近、国産製薬企業および外資系製薬企業において、グローバルシステムの導入のお手伝いをすることができ、その経験から、今後同様の案件を扱う際の参考のために本論文をまとめた。 キーワード:製薬業界、グローバルスタンダード、プロジェクト管理 目次 1. はじめに2. 製薬業界におけるグローバル化の背景2.1. 製薬会社を取り巻く国際的環境2.3. 製薬会社における新薬開発のスピードアップの重要性3. 外資系製薬会社における日本市場への参入の障壁3.1. グローバル化の壁3.2. 日本市場への参入の遅れ3.3. グローバルオペレーションへの移行4. 国産製薬会社におけるグローバル展開の障壁4.1. 最初のグローバリゼーション4.2. 欧米先行型開発5. 製薬業界におけるグローバルスタンダードを意識したITの導入プロジェクト. 145.1. 言語の問題5.2. Word文書による英文ドキュメント作成時の注意点5.3. 日本語MS-Word文書にGraphicsを描画する場合の注意5.4. PDFファイルの利用6. おわりに 1.はじめに 製薬業界では、規制緩和や薬価抑制の波を受けて、企業戦略の修正を余儀なくされている。新薬を開発する製薬会社にとって、21世紀に生き残りをかけた企業戦略の立案は至上命題となっている。もはや日本国内の市場をターゲットにしているのみでは、今後の成長は望めない。国産の製薬会社では、日本国内の限られたマーケットから、積極的に海外展開へとその方向性を変えつつある。また一方で多くの外資系企業は、世界第2位の市場を持つ日本のマーケットに照準を定め、日本でのシェア拡大に躍起となっている。製薬業界の特殊性として、市場に出す薬剤(すなわち製品)は、各国での臨床試験を経てそれぞれの当局に申請を行い、承認を得る必要があることがあげられる。他の業種の多くは、どの国で開発された製品であっても、ほとんどの場合規格さえクリアしていれば各国において発売することができる。たとえばテレビを例にとると、NTSCやPALといった映像方式が合致してさえいれば即市場に出すことができる。薬品の場合は、生命に与える危険性などの観点から、各国の規制要件をクリアした上で、臨床試験を行い、また各国で定められた申請方法によって申請書を作成しなければならない。また発売後の製造指針や市販後調査等に関するガイドラインも定められており、研究開発の段階から世の中に出たものまで一貫して当局の厳しい管理下におかれていることになる。日本の厚生省におけるガイドラインは、欧米におけるそれと比べて、非常にユニークであり、特殊性を持ったものになっている。このことは、外資系製薬企業の日本への進出を阻害してきた大きな一因となっていた。 また、同様に日本の製薬会社が海外に進出する場合に、各国の法律やレギュレーションに対応することが必要となることは言うまでもない。 国際化を志向している国産製薬メーカーに対し、ITシステムを含めたグローバル化のサポートニーズが存在する。つまりグローバルスタンダードの採用は経営戦略上、不可欠となりつつある。 日本の市場に照準を定めている外資系企業にとって、日本の規制要件、文化、習慣について融和したグローバルプロジェクトを策定することが必要である。また日本における言語(2バイトコード)の問題から、ITシステムを導入する際のサポートニーズがある。 筆者は、これまで外資系製薬会社および国産製薬会社のそれぞれにおいて、グローバルな観点からのITシステムの導入をした経験をもっている。 本論文では、これらの経験をベースに、グローバルプロジェクト管理およびグローバルスタンダードを導入するにあたっての問題点や、注意点を中心に論じた。 2. 製薬業界におけるグローバル化の背景 2.1.製薬会社を取り巻く国際的環境 […]


